「漫画 君たちはどう生きるか」を読んで思ったこと

『漫画 君たちはどう生きるか』を読み終えた。とても感動した。嬉しくて仕方がなかった。

嬉しかった点を3つにまとめてみた。

 

①漫画版の裏表紙には「永遠の名作が、80年の時を経て、ついに漫画化!」とあり、帯には「120万部突破!」と書いてある。岩波文庫の帯には「時代を超えて読み継がれるロングセラー」とある。この作品を今の時代を生きる人に注目してほしいと仕掛けた人がいて、そして読んでみようと思う人がたくさんいるということがとても嬉しい。最近出会った「まだ見ぬ人類の良心」という言葉に通じている。暗澹たる気持ちになるようなニュースばかりが目に映るが、それとは違う次元で「まだ見ぬ人類の良心」が確実に感じられた。

 

②コペルくんが約束を守れずに、布団の中で葛藤し、おじさんやお母さんに受け止めてもらいながら、立ち上がった。自分を卑怯な人間だと受け止めることは、もう2度とこんな後悔しないように、次には勇気を出して行動しようと背中を押してくれることに繋がるのだと知った。私自身も失敗を怖がる。失敗してしまったら、なかったことにしようとしたり、自分だけの責任じゃないとうそぶいたりする。しかもほとんど無意識に。自分を卑怯な人間だと認めることは苦しいことだけれど、確かに自分は卑怯なのに、知らんぷりするほうがよほど格好悪いと思った。お母さんが言う「ぐずぐずしてしまった自分が心の中にはっきりと残っていて、そんな自分にお礼を言いたい」という言葉に感心し、私もそうありたいと思った。

どうしてこんなことをしたのだろうと思う人が平気なふりをして見せていても、内面は葛藤しているのかもしれない。表に出せずにいるのかもしれない。責めずに見守ったら、何か変わるのかもしれないとも思った。これはかなり甘い考えだとは思うけれど。そして「見守ること」と「放置すること、無視すること」は似ていて違うけれど。

 

③コペルくんに寄り添う「おじさん」は、今の私よりも若い設定ではあるが、若い人に対して、あんな大人になりたいと思った。そうなるために自分自身もしっかり勉強し、自分で考えて行動できる大人、勇気を出せる大人になりたいと思った。なりたい大人のイメージが少しずつでも明確になるのは嬉しい。

 

まだ読んでいない人、ぜひ読んでみてください。

岩波文庫のほうも字ばかりではあるものの、読みやすいです。